KS-22
-The Vechile Driven by Will-

Powertrain / Drive
扱いやすい出力特性

昨年度マシンKS-21の持つ、十分なパワーとフラットなトルクによる扱いやすさをそのままに、常にベストなパフォーマンスを発揮できる信頼性を確保した設計を行った。また、ICVクラスアクセラ1位を狙うためにターゲットタイム3.9sを設定し、これを達成できるようにさらなる各種最適化を図った。
・吸排気システム
6000~12000RPMではKS-21以上の出力を出すことを目標にして、吸気から排気の順にマニホールドの径を設計した。ほかの吸気システムでも圧損の低減のために全体的な曲げを減らし、リストリクタは径を若干拡大させて最大出力の向上を狙った。また、3Dプリントで制作した部品は表面塗装により隙間を埋め、サージタンクとインテークマニホールド間も一体型設計にして機密性を向上させた。
排気システムでは軽量化に重点を置き、騒音規制を満たす性能をもたせつつ1400gの軽量化を達成したマフラー、チタン製に変更したことによって形状変更による400gの重量増加を避けることができたエキゾーストマニホールドが変更点として挙げられる。
・ECU制御
KS-21では実走行によるセッティングが主であったが、この方法では正確なエンジン性能の最大値を取ることができなかった。そのため、KS-22ではシャシダイによる正確な測定値を基にしてセッティングを行った。
さらに、アクセラ、スキッドパッド、エンデュランス等の競技に合わせて、出力変化を穏やかにする、出力が線形になるようにする、燃焼効率を最適化し、燃料消費量を抑制するなど複数のセッティングを可能にした。
・冷却性能
KS-21のエンデュランスシュミレーションから必要な放熱量を決定し、電動ウォーターポンプの容量を増やし、これに伴う消費電量の増加に対しては循環流量とラジエータファンの風量制御で対応した。
加えて、ラジエータのサイズも見直すことでエンデュランス走行で放熱量不足による出力の低下を防ぐ設計とした。
Frame/Body
重量を削りつつ剛性を向上

Frameはマシン全域にまたがるパーツであるため、重量と剛性が車両に与える影響が大きい。
KS-22のFrameは、全体の剛性に焦点を当て、各部品に剛性目標を与えることによって、部品ごとに極端に剛性の差が大きくならないようにした。
また、トー剛性は昨年比225%の向上、シャシー全体での2.7kgの軽量化を目指した。
・フレームパイプ
フレームパイプをKS-21で用いたものよりも径が大きく、厚さの薄いものに変更したことで、パイプの断面積を減らしつつ断面二次モーメントを増やすことができ、曲げ、ねじりに対して剛性を向上させつつ軽量化も達成することができた。また、補強パイプの位置の最適化によってさらにねじり剛性が強化された。
・ハブ・ベアリング
過去2年で3度の破断事例が発生したこととベアリングの剛性不足を受けて、KS-22ではハブの材料を対疲労性に優れた特性を持つNAK55に変更し、重量増を抑えるために薄肉大径化を施した。さらにガス軟窒化処理を行い、表面起点の疲労亀裂発生を抑制した。また、ベアリングは深溝式からアンギュラ式に変更し、作用点間距離を広げて剛性を強化した。
・フレーム全体の軽量化
FBH・AIPの設計変更で360gの重量を削減し、RBHはエンジンが通過できるギリギリのサイズまで狭めることで小型化した。また、アーム、ステアリング、リアセクションも目標剛性を保てるようにしながら簡素化、肉抜き、小型化を行い重量を削減した。
Aero
Wind for Speed

今年のマシンのエアロは、エアロバランス・冷却性能・重量目標を満たしたうえでダウンフォースを最大化させることを目標とした。目標達成のために素材の見直し、開発エリアの再検討を行った。
・フロントウイング/サイドフィン
アップウオッシュの低減、圧力差の発生といったフロントウィングのエリアごとに必要な流れ場に着目し、ツイスト形状を採用したフロントウィングを制作した。
サイドフィンは翼端板の形状変更により、翼端渦が車両から遠ざける方向に流れるようになった。
・リアウイング
KS-21の手法で必要十分な剛性を確保できたため、小型化をしたうえで多段化し、得られるダウンフォースはさらに大きくなった。また、リアウィング翼端板にはベーンを設置し、空気の剥離とダウンウオッシュを防げるようになった。
・カウル/サイドポッド/サイドディフューザー
マシン底部で発生するインウオッシュに沿った流れを有効に活用して、床下で発生する負圧を最大化できるようにカウルの形状を後方に向かって絞り込み、面積を最小限にできる形状に変更した。
サイドポッドはラジエター後方の部分を削除し、フロア後方の負圧を強化したほか、サイドディフューザーは底面ベース形状で設計し、後方での負圧の損失を低減した。
Driver Interface & Brakes
意のままのコントロール

KS-20、KS-21のマシンにおける動的種目の大きな課題として、タイムのばらつきと練習の成果を本番で発揮しきれないことがあった。そのため、今年のドライバーインターフェースの目標は「再現性」として、ドライバーが常に正確な操作ができるように、常時同じ姿勢を維持することを重要視した。
そのため、モックアップの精度の向上、ドライバーの3Dモデル化、PDCAの複数サイクル化を行い、「再現性」を持たせられるような設計を行った。
・インストルメントパネル
競技走行中の極限状態下でもドライバーが情報を正確にとらえられるよう、液晶ディスプレイに情報を集約し視認性を向上。さらにコクピットからLSDやオートシフト機能、試走用のコース区間設定、ドライバー設定等の制御システムの確認と制御を可能にしてセッティング性を向上させた。
・ドライビングポジション
KS-21では長時間の着座でドライバーに背中の痛みが発生していたほかに、肩幅が窮屈、腰の骨盤の不安定さがドライバーから指摘された。そのため、シート側面、背面、腰部の3つの支持ポイントに着目した設計を行った。
また、ドライビングポジションも腰への負荷を分散するためのリクライニング角度を与えたほか、ペダルには反力・ストローク調整機構を採用してマシンのコントロール性を高めた。
・ブレーキ
KS-22では昨年行っていなかった重量へのアプローチを行い、制動性能、熱信頼性を維持した上で耐力の強い鋼材に材料を変更し約30%の軽量化、さらに形状も表面積を大きくできる外形をウェーブ状に変更した。
Low Voltage Electronics & Data Acquisition
軽量化、信頼性、安全性

・電子ハードウェア
KS-21では、軽量化を重視してボディアースを採用していたが、ボディアースにはトラブル対処にかかる時間の増加、分解組み立て時に付け忘れが発生するなどの問題点があった。そのため、KS-22では信頼性を重視した1点アースを採用し、試走の際の効率化を重視した。
・テレメトリーシステム
KS-22では、テレメトリーシステムを搭載してドライバー以外でも、TPMSによってタイヤの内圧を確認したり、CAN通信によってエンジン状態を把握することができるようになり、走行中のマシンの情報をリアルタイムで確認できるようになった。
